「意外と知らない」イーサリアムロールアップとは。何が行われているの?
こんにちは。以前イーサリアムについていくつか記事にしました。
「今更聞けない」イーサリアム(ETH)とは?まるっと解説 – あんしん仮想通貨
「完全解説」イーサリアム(ETH)ロードマップとは? 歴史と今後の展望について – あんしん仮想通貨
今回、イーサリアムロールアップについて詳しく解説していきたいと思います。
2025年現在のイーサリアムは取引の処理速度に問題があり、速度が遅延したりガス代が高騰する事があります。今後のアップグレードにより解決するとされていますが、当面の問題を打破する目的で誕生したのがロールアップという手法です。
ロールアップは2022年に行われたイーサリアム改善提案、The Merge(マージ)の一環として導入されました。
ロールアップとは
ロールアップとはレイヤー2という仮想通貨に、イーサリアムブロックチェーンの取引処理を手伝ってもらう手法です。
膨大な取引データをレイヤー2に処理してもらい、処理し終えたデータをイーサリアムブロックチェーンに追加します。ロールアップの狙いはスケーラビリティの改善と、ガス代の高騰を抑える事でした。
参考:https://academy.binance.com/ja/articles/what-are-zk-rollups-the-layer-2-scalability-technique
レイヤー2とは
レイヤー2とは独自のブロックチェーンで開発されたレイヤー1に、相乗りするような形で存在しています。その役割はレイヤー1のブロックチェーンを利用した暗号通貨の開発や、イーサリアムに関してはもっぱら膨大なトランザクション処理のタスクを助ける役割としています。
図のレイヤー2はイーサリアムのブロックチェーンを借りてレイヤー2のブロックチェーンを作り出し、イーサリアムの取引処理のタスクを助けます。
ロールアップの種類
ロールアップにはオプティミスティック・ロールアップとZKロールアップの2種類があります。
オプティミスティック・ロールアップとは
オプティミスティックとはレイヤー2仮想通貨で、取引処理のコンセンサスにオプティミスティックという手法が用いられています。
「楽観的」という意味を持ち、その名の通り、楽観的に=正しいという前提のもと運用されています。これを採用しているのがOptimism、Arbitrumです。
これとは異なるのがZKロールアップです。
ZKロールアップとは
ZKロールアップとはオプティミスティック・ロールアップよりコンセンサスメカニズムが複雑で、”ゼロ知識証明”という理論を用いています。
ゼロ知識証明とは簡単にいうと、ある記述が正しい事を、記述の内容を見せることなく正しい事を証明するコンセンサスです。
ゼロ知識証明を用いる事で、オプティミスティック・ロールアップよりセキュリティや速度の面は優れています。これを採用している通貨はzkSync、StarkNetが挙げらます。
ロールアップの課題
ロールアップはイーサリアムには速度の向上を与え、レイヤー2にはイーサリアムが持つセキュリティを与えます。一見持ちつ持たれつの様にみえますがロールアップには断片化という問題が指摘されています。
ロールアップ断片化はレイヤー2が独立性を増す事により、イーサリアムとレイヤー2の処理した取引が遅延したり上手く届かなかったりする問題を引き起こします。
断片化に関する記事はこちら
イーサリアムの取引処理速度は2025年現在、30TPS。ソラナで6,5000TPSなので違いが大きく分かります。ガス代も2022以降は大幅に下がりましたが、高いときで1回10ドル以上かかります。これを解決するにアップグレードにより、イーサリアム自身の力を向上させなければなりません。
まとめ
ロールアップとはレイヤー2という仮想通貨に、イーサリアムブロックチェーンの取引処理を手伝ってもらう手法。
ロールアップにはオプティミスティック・ロールアップとZKロールアップの2種類がある。
ロールアップはイーサリアムには速度の向上を与え、レイヤー2にはイーサリアムが持つセキュリティを与えます。一見持ちつ持たれつの様にみえますがロールアップには断片化という問題が指摘されています。
まだ多くの課題があり、アップグレードにより一つずつ解決していく必要があります。