こんにちは、イチです。

いま、量子コンピュータが仮想通貨を破壊するという話題が広がっています。
「ビットコイン終わった？」
「量子が来たら全部ハックされる？」

そんな声も確かに増えています。

結論から言うと：

今回の“量子リスク”は、過去の危機とは別物。
しかし、仮想通貨は終わらない。
むしろ進化を強制され、結果的に強くなる。

この記事では、
・過去の危機との違い
・量子コンピュータとは何か
・どこが本当に危険なのか
・ビットコインやイーサリアムは対応できるのか
・投資家として何をすべきか
を分かりやすく整理します。

第1章：仮想通貨市場はこれまでも“終わった”と言われ続けてきた

量子の話に入る前に、まず歴史の振り返りを。

■ Mt.Gox崩壊（2014）

BTC70%暴落。「本当に終わった」と世界中が騒ぐ。
→ 実際にはその後、史上最高値を10回以上更新。

■ 中国の全面禁止（2017〜）

世界のマイニングの70%を禁止。
→ 48時間でネットワークが自動再配置。

■ ICOバブル崩壊（2018）

70〜90%のアルトコインが消えた。
→ DeFi、NFT、Layer2が誕生。

■ FTX崩壊（2022）

最大級の取引所が破綻。
→ 透明性（Proof of Reserve）の時代へ。

つまり、市場はあらゆる危機を“強くなって”乗り越えてきました。

ただし――
今回の量子の話は、それらとは“種類が違う”。

第2章：今回の「量子コンピュータ問題」は何が違うのか？

まず結論。

量子コンピュータは、ブロックチェーンの根本＝暗号の仕組みに触れる。
なので過去の事件と層が違います。

過去の危機
→ 不正・破綻・規制など、“人間側”の問題です

量子リスク
→ 暗号・数学・プロトコルという“システムの心臓部”の問題です

層が違うというのはこの意味です。

第3章：そもそも暗号とは何か？（RSA / ECC の基礎）

暗号を知るにはRSA/ECCについて知らばければなりません。
これからそれについて説明します

ビットコインやイーサリアムは
“難しすぎる計算”を利用して秘密鍵を守っています。

代表的なのが RSA と ECC（楕円曲線暗号）。

RSAとは

巨大な数字を分解するのが
“普通のコンピュータではほぼ不可能”という仕組み。

👉ハッキングが不可能

ECCとは

特殊な曲線上の点を
“逆算するのが極端に難しい”という仕組み。

👉こちらも同様

両方に共通してるのは：

「計算が絶望的に難しい」＝「安全」
という仕組みで成り立っている。

ーーこれが仮想通貨の基盤。ーー

🧩 第4章：量子コンピュータが脅威になる理由（ショアのアルゴリズム）

暗号が壊れる可能性が出てくるのは
量子コンピュータが“計算の仕方そのものを変える”可能性があるからです。

それが量子コンピューターの、ショアのアルゴリズム・・・

ポイントはこれ👇：

ショアのアルゴリズムとは？

量子コンピュータのための
“RSAやECCを高速で解く計算方法”。

普通のPCが10,000年かかる計算が
量子では数秒〜数分になる可能性がある。

つまり：

今の暗号の安全性の根拠が消える。

公開鍵が露出している古いウォレットは特に将来リスクが高い。

第5章：解決策はあるのか？ → ある。それが「PQC（量子耐性暗号）」

PQC＝Post-Quantum Cryptography
“量子時代でも解けない暗号” のこと。

これはすでに実用化が進んでいて、

• NIST（米国標準局）：2022年に量子耐性暗号を標準化
• Google：2023年から採用開始
• Cloudflare：2023年から導入
• 銀行・大企業も順次移行中

世界がすでに量子時代に向けて動いている。

ブロックチェーンも同じように移行できる。

第6章：暗号は歴史的に“何度も更新されてきた”

仮想通貨だけが例外ではありません。

• SSL（1995）→ TLS1.0（1999）→ TLS1.3（2018）
  　→ インターネット暗号は数回更新
• WEP（1997）→ WPA（2003）→ WPA2（2004）→ WPA3（2018）
  　→ Wi-Fi暗号も4回更新
• 銀行暗号も2000〜2010年代に大幅改良

暗号は古くなったら更新するのが“当たり前”の世界。
仮想通貨もその流れに乗るだけです。

第7章：BTCとETHは本当に移行できるのか？ → 十分可能

ここが読者の最大の疑問だと思います。

答えは：

技術的には十分可能。
ただし時間と合意形成が必要。

その根拠に・・・

過去の巨大アップデート

• SegWit（2017）：取引データ圧縮、容量問題を解決
• Taproot（2021）：プライバシー強化、署名の効率化
• EIP-1559（2021）：ETH手数料を“燃やす”仕組み導入
• Merge（2022）：ETHがPoW→PoSへ歴史的転換

どれも当時「絶対無理」と言われていた。
それでも実現しました。

これが量子対応にもつながる確かな根拠となります。

第8章：しかし量子リスクは“過去の危機と同じではない”

しかし、先程も申し上げた様に、今回の問題は過去事件とは層が違います

• Mt.Gox
• FTX
• 規制問題

これらは
“人間側の問題” でした。

量子は
“数学レベルの問題”です。

層が違うのは事実です。

しかし――

層が違う＝終わり
ではなく
層が違う＝進化のフェーズへ入った
というだけです。

第9章：投資家として何に気を付けるべきか（参考程度に）

参考程度に

• 古いアドレスへの長期保管は避ける
• PQC対応を表明しているチェーンに注目
• 草コインは暗号更新ができず淘汰されやすい
• ハードウェアウォレットのアップデート
• 取引所の暗号体制の変化もチェック

これらの暗号資産リスク管理は必要と思います。

最終章：仮想通貨市場の未来（イチの結論）

量子コンピュータの脅威は確かに“本質的”で、
過去の危機とは違う層の問題です。

しかし――

• 暗号は歴史的に何度も更新されてきた
• 世界中で量子耐性暗号が標準化されている
• BTC/ETHは巨大アップデートを成功させてきた
• 技術的な解決策は既に存在している

量子時代は“終わり”ではなく、
仮想通貨が次のレベルへ進化していく起点。

仮想通貨はこれまでも危機のたびに強くなってきました。
今回も、その延長線上にあります。

投資家へ
「あなたは今、仮想通貨進化のフェーズの起点に立っているのかもしれません。」

📚 参考文献

• CoinDesk「Quantum Computers and the Future of Blockchain Security」
  https://www.coindesk.com/tech/2024/quantum-computing-blockchain-security/
• Decrypt「Is Quantum Computing a Real Threat to Cryptocurrency?」
  https://decrypt.co/quantum-computing-crypto-threat
• Chainalysis「Understanding How Quantum Computing Impacts Crypto Security」
  https://www.chainalysis.com/blog/quantum-computing-crypto/
• The Block「Post-Quantum Cryptography and the Future of Digital Assets」
  https://www.theblock.co/post-quantum-crypto
• Hackernoon「Why RSA and ECC Will Be Obsolete in the Quantum Era」
  https://hackernoon.com/rsa-ecc-quantum-threat
• Medium（Crypto/QC専門）「Quantum Attacks and Blockchain Vulnerabilities Explained」
  https://medium.com/quantum-blockchain/quantum-attacks-explained
• NIST「Post-Quantum Cryptography Standardization Project」
  https://csrc.nist.gov/projects/post-quantum-cryptography
• Ethereum Foundation「Ethereum Upgrades: From PoW to PoS and Beyond」
  https://ethereum.org/en/upgrades/
• Bitcoin Core Docs「Tap
• 当サイトではこちらもお勧め👉「徹底解説」超大型暗号通貨ビットコインの特徴 – あんしん仮想通貨

イチ

兼業トレーダー

初心者でもわかるように、仮想通貨の実践記・気づき・相場解説を発信中。難しいことをシンプルに伝え、誰かのスタートに役立つブログを目指しています。