「完全解説」イーサリアム(ETH)ロードマップとは? 歴史と今後の展望について
前回、イーサリアム(ETH)についてまるっと解説しました。「今更聞けない」イーサリアム(ETH)とは?まるっと解説 – ansin-kasotsuka100xx.site今回イーサリアムのロードマップについて解説し、現在の進捗を報告したいと思います。
イーサリアムのアップグレードは過去2015年~2022年にかけてフロンティア(1回目)→ホームステッド(2回目)→メトロポリス(スマートコントラクト化)→イーサリアム2.0がへとアップグレードが行われてきました。
イーサリアムロードマップとは
引用:ヴィタリック・ブテレン氏公式X Xユーザーのvitalik.ethさん: 「By popular demand, an updated roadmap diagram for 2023! https://t.co/oxo58A2KuG」 / X
イーサリアムロードマップとは、イーサリアムの誕生から上記のアップグレードによる最終形態までの道のりを示すもので、これが成されるかでイーサリアムの命運を分けると言っても過言ではありません。
ブテレン氏の公式Xによると、The Merge(マージ)から最後のThe Splurge(スプラージ)というアップグレードを終えるとイーサリアムの完成と明言されています。
イーサリアム2.0とは
2020年に行われたイーサリアム2.0へのアップグレードBeacon Chain(ビーコンチェーン)導入により、POWからPOSをイーサリアムに移行するためのテストネットが開発されました。
ビーコンチェーンについて
ビーコンチェーンとはPOSネットワークを支える役割をもつもので、元々はイーサリアム2.0におけるPOS以降への手助けをするブロックチェーンでした。
POS以降時のビーコンチェーン
POS以降時のビーコンチェーンはあくまでもテストネットであるため、当時メインネットであったPOWとは切り離されつつ並行して動くブロックチェーンでした。
ビーコンチェーンそのものには取引やスマートコントラクトを実行する機能は無く、POWを支えつつPOSへ移行する橋渡しの役割でした。
イーサリアム2.0を終えると2022年にThe Merge(マージ)が行われます。
The Merge(マージ)
マージは2022年に行われたイーサリアムの大型アップデートで、イーサリム2.0のテスト段階から、マージにより本格的にPOSへ移行しました。マージはビーコンチェーン導入から始まり、その目標は「理想の、シンプルかつ堅牢で分散化されたPOSコンセンサスを持つこと」(図参照)で、2024年時点でその数は80万以上となっており、ソラナの1900程と比べると圧倒的分散性。
The Surge(サージ)
サージの目標は「ロールアップを含めて、秒間100,000トランザクション以上の処理ができること」です。現在のTPS(トランザクション毎秒)は約15~30程。10万TPSになれば益々注目を集めそうです。
デンクンについて
図の「EIP-4844」がデンクンといい、2024年の3月に実装された大型アップグレードであるプロト・ダンク・シャーディングを示すものです。
デンクンではプロト・ダンク・シャーディングにより、スケーラビリティとセキュリティの向上が期待されています。
プロト・ダンク・シャーディングとは
プロト・ダンク・シャーディングではこれまでイーサリアムの課題であったスケーラビリティの問題を改善する策となっています。
スケーラビリティとはシステムがどれだけの処理に対応できるかを指し、今でもイーサリアムでは取引処理の対応速度に悩まされ、ガス代が高騰する問題もあります。
そもそもシャーディングは一つのブロックを切り分けて(シャード)、ブロックを並列処理できる様にするシステムです。並列処理する事で処理速度の向上を図ります。
プロトダンクシャーディングとはダンクシャーディングの前段階でありイーサリアム独自の開発システムの事。通常のシャーディングと異なり、イーサリアムではブロックを切り分けずに多数のレイヤー2を活用した手法を採用しています。
従来のシャーディングでは、取引処理するブロックが増える事での、新たなスケーラビリティ問題が発生する懸念がありました。
ダンクシャーディングは切り分けられた多くのブロック(イーサリアムネットワーク全体)に対し、レイヤー2がバリデータとして働きます。
シャーディングの導入でガス代はどうなるか
引用元:coin Gecko GAS から ETH: ガス の Ether建て価格 | CoinGecko
プロト段階では直接的なガス代の節約とはならないそうですが、コインゲッコーのETHガス代チャートをみると2023年から大幅に下がり、2024年9月時点では0.0013ETHとっています、日本円で約332.0円です。以前は0.01ETH=3000円だった事もありましたが、これまでのアップデートの甲斐もあり10分の1までガス代は下がっています。
サージの進捗状況
サージはまだ準備段階で完全な実装に至っていません。2024年10月17日に投稿されたブテレン氏の公式ブログによるとイーサリアムはサージにより100000TPS(トランザクション/秒)と、L1のさらなる分散性と強化、L2との相互運用性を最大限にすると発言していますが、いつになるやら。
引用:ブテレン氏のブログ イーサリアムプロトコルの可能な未来、パート2:サージ
とは言え、実装は楽しみです。
まとめ
イーサリアムロードマップとは、イーサリアム自身の誕生から最終形態までの道のりを示すもの。
イーサリアム2.0とマージによりPOWからPOSへ方向転換した。
2024年3月には大型アップグレードであるデンクンを実装し、スケーラビリティとセキュリティを改善。ガス代を抑える事ができました。
次のアップグレードであるサージでは毎秒10万トランザクション処理を目指しスケーラビリティ問題を解決しようと試みている。(実装はまだ未定)