ビットコインに「4年周期」は錯覚だったのかービットコインの成熟と流動性の視点ー

こんにちは、イチです。
ビットコインには「4年周期がある」と言われることがありますよね?
半減期の翌年に価格が大きく上昇し、その後にバブルを形成する、という考え方です。
過去3回のバブルは半減期後に価格が上昇していたため、「半減期=価格上昇」という見方がありました。
ですが2024~2026年現在のコイン市場はどうでしょう?
全然期待通りにならないですよね
実際に数字を確認してみます。
2012年11月28日に最初の半減期を迎えたとき、ビットコインの価格は約12ドルでした。その後、2013年12月には約1,100ドルまで上昇しています(出典:CoinMarketCap ヒストリカルデータ)。およそ90倍の上昇です。
2016年7月9日の半減期時点では約650ドルでしたが、2017年12月には約19,800ドルを記録しました。約30倍です(出典:CoinMarketCap)。
さらに2020年5月11日の半減期では約8,600ドルでしたが、2021年11月には約69,000ドルに到達しています。約8倍の上昇です(出典:CoinMarketCap)。
このように、過去3回の半減期後に価格が大きく上昇しているのは事実です。
そのため「半減期=価格上昇」という見方が広がりました。
しかし、ここで一つ疑問があります。
本当に、価格を押し上げた主な要因は半減期だったのでしょうか。
供給が減ることだけで、これほどの規模の上昇が説明できるのでしょうか。
半減期は価格上昇の十分条件なのでしょうか
半減期とは、ビットコインの新規発行量が半分になる仕組みです。
現在は約10分ごとに新しいビットコインが発行されていますが、半減期が来るたびにその報酬が半分になります。
例えば、2020年5月の半減期では、1ブロックあたりの報酬は12.5BTCから6.25BTCへ減少しました。単純計算では、市場に供給される新規ビットコインの量は年間で約328,500BTCから”約164,250BTC”へ減少したことになります。
供給が減れば価格は上がりやすくなる。これは経済の基本原則です。
そのため「半減期が価格上昇を生む」という説明は、一見すると合理的に見えます。
ただし、市場価格は供給だけで決まるものではありません。
需要が伴わなければ、供給が減っても価格は大きく動きません。
2021年のピーク時、ビットコインの時価総額は約1.3兆ドルに達しました(出典:CoinMarketCap)。
この規模の市場において、年間”16万BTC”前後の供給減少がどれほど価格を押し上げる力を持つのかは、慎重に見る必要があります。
また、マイナーが売却する量は新規発行分だけではありません。
過去に保有していた在庫を売却する場合もあります。
つまり、半減期があったからといって売り圧が直線的に半分になるわけではありません。
供給減は確かに存在します。
しかし、それが数倍規模の価格上昇を単独で生み出したと断言するには、検証が足りません。
過去の上昇局面を金融環境から見る
2013年バブル ― 小規模市場と投機資金の流入
2012年11月28日に最初の半減期を迎えた時、ビットコイン価格は約12ドルでした。
その後、2013年12月には約1,100ドルに到達しています。
約90倍の上昇です。
ただし当時の時価総額は約10億ドル規模でした。
市場は非常に小さく、流動性も限定的でした。
2013年はキプロス危機があり、「国家や銀行から独立した資産」というストーリーが注目されました。
小規模市場に対して資金が集中すれば、価格は大きく動きます。
この時期の上昇は、供給減というよりも、市場規模の小ささと投機熱が主因だった可能性があります。
2017年バブル ― ICOブームとリスクオン環境
2016年7月9日の半減期時、価格は約650ドルでした。
2017年12月には約19,800ドルまで上昇しています。
約30倍です。
この時期の米国政策金利は1%台でした(出典:FRED)。
世界的に株式市場は上昇基調で、リスク選好が強い局面でした。
特に象徴的だったのがICOブームです。
2017年のICO調達額は約60億ドル規模に達しました(出典:CoinDesk)。
暗号資産市場全体に資金が流れ込む構造が形成されていました。
半減期は存在しましたが、
価格上昇を加速させたのは、投機資金の大量流入と緩和的な金融環境でした。
2021年バブル ― ゼロ金利と歴史的流動性拡大
2020年5月11日の半減期時、価格は約8,600ドルでした。
2021年11月には約69,000ドルを記録しています。
約8倍です。
2020年3月、FRBは政策金利を0〜0.25%へ引き下げました。
同時に大規模な量的緩和を実施し、FRBのバランスシートは約4兆ドルから約9兆ドルへ拡大しました(出典:Federal Reserve)。
M2も前年比20%超の増加を記録しています(出典:FRED)。
市場には大量の資金が供給されました。
株式市場、不動産、そして暗号資産へと資金が流れました。
半減期はありました。
しかし価格上昇を支えた最大の要因は、歴史的規模の流動性供給でした。
4年周期は原因ではなく結果だった可能性
半減期は約4年ごとに訪れます。
一方、金融政策の緩和・引き締めサイクルも数年単位で動きます。
結果として、半減期と流動性拡大が重なったタイミングが続きました。
それが「4年周期」という形で認識された可能性があります。
半減期が価格上昇を生んだのではなく、
流動性拡大の波に半減期が重なったという見方です。
これは断定ではありませんが、データを見る限り無視できない仮説です。
現在のビットコイン低迷の背景
2024年の半減期を通過しましたが、
過去のような爆発的上昇はまだ起きていません。
現在の米国政策金利は5%台です(出典:Federal Reserve)。
2020年のゼロ金利環境とは大きく異なります。
FRBは量的引き締めを進めており、
流動性は2021年ほど拡大していません。
ETF承認により機関資金は流入していますが、
それは急騰を生む投機資金とは性質が異なります。
さらに、市場規模は以前よりも格段に大きくなりました。
同じ倍率で価格を押し上げるには、より大きな資金が必要です。
現在の低迷は、
・金利が高い
・流動性が爆発していない
・市場規模が拡大した
という環境要因の違いによる可能性があります。
周期が弱まったのではなく、市場が成熟した可能性
ビットコインの時価総額は、2013年には約10億ドル規模でした。
2021年には約1兆ドルを超えています(出典:CoinMarketCap)。
市場参加者も変化しました。
2024年には米国で現物ビットコインETFが承認され、
大手金融機関が参入しています(出典:SEC)。
市場はより大きく、より制度化されました。
成熟した市場では、単純な供給ショックだけで価格が数十倍になる可能性は低下します。
価格はよりマクロ環境や資金フローの影響を受けやすくなります。
周期が壊れたのではなく、
市場構造が変化した結果、同じ形が再現されにくくなっている可能性もあります。
結論
・過去3回、半減期の翌年に価格が大きく上昇したのは事実です。
しかし、その背景には必ず金融環境の変化と資金流入がありました。
・半減期は要因の一つです。
ただし、それ単体で数倍相場を生む十分条件とは言い切れません。
・4年周期が存在したのではなく、
流動性拡大と半減期が重なった結果として周期に見えただけかもしれません。
・今後を見る上で重要なのは、
カレンダーではなく、金利、ドル、流動性、そしてリスク選好の変化です。
・周期を前提に期待するのではなく、
環境を確認しながら判断することが、より現実的な視点ではないでしょうか。
・次回では”仮想通貨に希望はあるのか?”を書いてみたいと思います。
参考文献
・CoinMarketCap(ビットコイン価格ヒストリカルデータ)
https://coinmarketcap.com/
・Federal Reserve Economic Data(FRED)
https://fred.stlouisfed.org/
・Federal Reserve Balance Sheet Data
https://www.federalreserve.gov/
・CoinDesk ICO Report(2017年データ)
https://www.coindesk.com/
・SEC(米国証券取引委員会 ETF関連資料)
https://www.sec.gov/
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